大阪地方裁判所 昭和45年(ワ)1033号 判決
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〔判決理由〕(九) 損害の填補 三、一二一、七五五円
原告は、本件事故による自賠保険金二、八五〇、〇〇〇円、被告らから損害金の内金二七一、七五五円合計三、一二一、七五五円の支払を受けたことは当事者間に争いがない。
被告らは、原告が治療費のうち三二五、二五九円については生活保護法による医療扶助の支給を受けているからこれを損害額から控除すべきである旨主張しており、前記甲第八号証および証人森房恵の証言(第一回)によれば、原告は、中村外科に対する治療費一二一、一九九円については生活保護法による医療扶助によつて支給を受けたことが認められるけれども、生活保護法による医療扶助の給付は、困窮のため最低限度の生活を維持することのできない者に対して必要な保護を行なうためになされるものであつて、本件事故とは関係なく行われ、事故による損害の填補を目的とするものではなく、また加害者が国の生活保護によつて利益を受けるべきいわれはないから、右医療扶助費を損害額から控除すべきものではないというべく、たとえ被害者が賠償請求をした治療費について国が医療扶助給付をしたことによる利益を最終的に被害者が享受することになつても、それは加害者とは無関係な国との間の別個の原因による利得であつて、損益相殺の対象となる利得にあたらないものというべきである。従つて被告らの主張は理由がない。 (山本矩夫)